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財産を家族に相続させるには、財産を遺す人(被相続人)が生前に遺言書で分割方法を指定しておくか、被相続人の死後に相続を受ける権利のある遺族(法定相続人)が話し合いで分割方法を決めるかの2つの方法があります。
前者の手続が遺言書であり、後者の手続が遺産分割協議書です。
近年では、遺言書か遺産分割協議書が無ければ金融機関は故人の通帳を凍結してしまい、住居などの不動産も名義変更ができません。遺言書や遺産分割協議書の作成は、相続には必要不可欠な手続といえるのです。
被相続人が生前から自分の財産を把握しており、その相続について相続人に言い聞かせているようなケースでは、比較的順調に相続が実行されるものです。
逆に、被相続人が財産のことを何も話さないまま亡くなってしまうようなケースでは、相続人は不動産や預貯金の扱いに迷い、その分割方法で言い争いが起きてしまいます。
相続を受ける立場としては、遺産の分割方法を親である被相続人にあらかじめ指定してもらった方が納得もでき、兄弟姉妹でもめることもなくてありがたいと思うものなのです。
そのように被相続人が生前に財産の分割方法を指定するのが遺言書の役割です。遺言書の形式は民法で厳格に定められており、その形式に不備がある遺言書は無効となります。また、口頭での遺言も、特例を除いては法的には無効となります。遺産分割の方法は必ず民法に沿った形式で記載して遺言書を作成しなければ、その効力は発揮されません。
遺言書が無い場合の相続については、被相続人の死後に、親族(法定相続人)が協議をして遺産の分割方法を決めます。その合意内容を書面にしたものが遺産分割協議書です。
遺産分割協議書を法的に有効なものにするには、法定相続人の全員の同意が必要です。一人でも同意が得られない場合は、遺産分割協議は成立しません。
兄弟姉妹の人数が多かったり、それぞれが遠隔地にいる場合は、話し合いも長引き、遺産分割協議書を作成するのに必要な印鑑登録証明書や戸籍謄本をそろえるのにも苦労します。また、兄弟姉妹に婚外子がいる場合などは、特に協議には気をつかうものです。
離婚や再婚などで家族構成が複雑になったり、兄弟姉妹が遠隔地に居住するケースも多く、事後での煩雑さを避ける意味でも、被相続人が生前に遺言書を作成しておくのが、最も円満な相続手続といえるでしょう。
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